PENALDENT MESSAGE / FILE 01
† 中二病学部1年 †夜鴉 カノン
YOGARASU KANON
「ここでは、“ちょっと痛い自分”を隠さなくていい。
むしろ教授が『そこをもっと掘れ』って言ってくる。」
――運命に導かれし、まだ見ぬ同志たちへ。
CHAPTER I / IDENTITY
† 罪学生プロフィール †
“真の自分とは何か”を研究する1年生。右腕には、今のところ何もありません。
PERSONAL STATEMENT私は、夜鴉カノン。現在、うそこ大学・中二病学部で、“真の自分とは何か”を研究している。
……大げさでいい。
ここは中二病学部だから。
入学前の私は、「こういう言葉、なんかカッコいいな」とか、自分だけの設定を考える楽しさとか、夜に突然、意味ありげな一文を書きたくなる衝動を、なるべく見せないようにしていました。
だって普通、恥ずかしいじゃん。
「その恥ずかしさは、捨てる前に分析しろ。」入学初日、教授から
その瞬間、「ここ、ヤバい大学かもしれない」と思った。そして同時に、「私、ここ好きかもしれない。」とも思いました。
CHAPTER II / CAMPUS LIFE
† 中二病学部ってどんなところ? †
一言で言えば、みんなが自分の世界観を持っている学部です。
「さすがに濃すぎない?」
筆箱を《月蝕収納領域》と命名。
教室には、黒いノートへ何かを書く人、窓の外を見て意味深に黙る人、右手に包帯を巻く人、普通のシャープペンを《黒穿筆・ノワールペン》と呼ぶ人がいます。
† お気に入りの講義 †
黒歴史文法概論 I・II
「月だけが、私の本当の名前を知っている。」
中学時代の一文を分析したところ、「月」「本当の名前」「孤独」「説明されていない設定」が全部入った良質な資料だと判明。教授の高評価を、まだ喜んでいいのか分からない。
講義記録を読む →LECTURE 02理解度 87闇属性語彙論
「黒は色。漆黒は、人生が一回くらい大変だった色。」
「黒」と「漆黒」の差を90分かけて考える講義。夜霧先生からは「面白いが、レポートではもう少し正確に」と返された。正確な漆黒を現在も研究中。
講義記録を読む →LECTURE 03成績 学年上位選ばれし者の自己紹介研究
「沈黙は4.2秒を目標に。7秒は長かった。」
自己紹介の途中で少し黙り、窓の外を見る技術を修得。先週は先生に「夜鴉、続きは?」と促されたため、意味深さと授業進行を両立できる秒数を測定している。
講義記録を読む →CHAPTER III / ALIAS STUDIES
† 現在の異名:“孤月の残響” †
「孤独」「月」「消えたあとも何か残る感じ」。ただし正式採用は、まだ。
現在・第一候補
孤月の残響
「孤独」「月」「消えたあとも残る感じ」。教授陣の評価も高い。
異名は簡単に確定させるな。あとでもっと格好いいものを思いつくから。“光に飢えた電柱”
新入生候補が自己紹介で名乗った異名。普通なら絶対使わない「電柱」に、“光に飢えた”が付いた瞬間、悲しい過去がありそうに見えた。
「既存の闇語彙だけが闇ではない。」夜霧准教授時代、来てる。
CHAPTER IV / DAILY OBSERVATION
† ある日の時間割 †
深淵を研究していても、昼食と課題の締切はやってきます。
闇属性語彙論
朝から「深淵」と「奈落」の違いについて議論。眠い。
黒歴史文法概論
高校時代のSNS投稿を分析。もっと眠っていたかった。
学食
友達が「生命維持の供物」と言いながら、普通に唐揚げ定食を食べる。
空きコマ
図書館で『「孤独」と「月」の共起頻度について』を書く。かなり真面目。
選ばれし者の自己紹介研究
課題は「名前を言ったあと3秒黙る」。
第7校舎裏の階段
友達と喋る。最後はだいたい、ただのお菓子の話になる。それでいい。
「群れるつもりはない。」
と言いながら、毎日一緒に昼を食べる。
入学前は全員が孤独を愛していると思っていたけれど、実際は結構みんな仲がいい。LINEグループを抜けた翌日に「必要なら戻ってもいい」と自分から言ってきた人もいます。かわいい。本人には言わない。
† 学部内でよく見る光景 †
「「……来るぞ。」「何が?」「先生。」」
普通に先生が来る。
「「今日の供物はカレーか。」」
普通にカレー。
「傘を一瞬だけ構える。誰かと目が合う。」
静かに普通の持ち方へ戻す。
「「俺にはもう時間がない。」」
これは本当。
CHAPTER V / BLACK HISTORY ARCHIVE
† 捨てなかった過去の記録 †
昔の自分を、「痛かった」だけで捨てなくてもいい。
一番変わったのは、昔の自分をそこまで恥ずかしいと思わなくなったこと。ノートを読めば、今も普通に「うわあああ」とはなります。でも、そのあと少し笑えて、「この言い回し、今ならもっと良くできるな」と思えるようになりました。
昔の自分が必死に考えたものを、
全部なかったことにしなくていい。
カノンの黒歴史保管庫
- 01中学時代の詩ノート × 3
- 02自作キャラクター設定帳 × 2
- 03異名候補一覧 × 1
- 04終わっていない小説 × 4
- 05「世界観設定」と書かれたUSBメモリ × 1
- 06昔のSNS投稿
- 07誰にも送らなかった長文メッセージ
- 08何のために描いたのか分からない魔法陣
† カノンに10の質問 †
Q.01本当に自分を「選ばれし者」だと思っていますか?
“誰に選ばれたか”による。
Q.02魔法は使えますか?
使えない。ここは普通に答える。
Q.03右腕に何かありますか?
今のところ何もない。――今のところ。
Q.04一番好きな闇属性語彙は?
「残響」。闇属性語彙なのかは議論中。
Q.05「漆黒」は?
好き。でも便利すぎるから、最近なるべく我慢してる。
Q.06紅蓮院教授って怖い?
最初は怖かった。でも普通に優しい。レポートには厳しい。
Q.07一番苦手な課題は?
昔のポエム朗読。無理。いや、単位のためにやるけど。
Q.08ほかの学部へ行くなら?
文学系か、ゲームや物語を作ることを学べるところ。
Q.09将来何になりたい?
物語、キャラクター、世界観を作る仕事にはちょっと興味がある。
Q.10夜鴉カノンは本名ですか?
…………その質問、必要?(大学の学生情報には回答済み)
CHAPTER VI / FOR FUTURE PENALDENTS
† カノンのおすすめ入学準備 †
黒い服よりも、まず昔のノートと勉強道具を。
昔のノートを捨てない
あとで教材になる。
「恥ずかしい」を怖がらない
ここでは研究テーマになる。
異名を最低3候補考える
入学後、たぶん増える。
黒い服は必須ではない
本当に。普通の服の日もある。
包帯は強く巻かない
これは大学からも言われる。
ちゃんと勉強する
一番重要。教授たちは意外と厳しい。
それでも、君の中に誰にも見せていない世界があるなら。昔考えた技名があるなら。捨てられない黒いノートがあるなら。月を見て、ちょっとだけ何か言いたくなる夜があるなら。
ここは、案外、
君に向いているかもしれない。
「恥ずかしい自分を消すんじゃなくて、ちゃんと連れて歩けるようになる。
私にとって、中二病学部はそんな場所です。」
中二病学部1年 夜鴉 カノン
「“孤月の残響”は私が先だからね。」“次に目覚めるのは、君かもしれない。”